IQとは、知能指数(Intelligence Quotient)の略です。

「知能指数」は、「知能検査」の結果の代表的な表示方法です。

私は、「知研式因子別知能テスト」と「田中ビネー式知能検査」の講習を受けました。
そこで学んだことは、次の2つです。

  1. IQは、<知能をはかる共通のものさし>です。
  2. 「知能指数は年齢が大きくなるとそれにつれて知能指数も伸びると思っている」人が多いようですが、「知能指数は環境の変化が無い場合、余り変動しない」のです。

知能検査の結果の計算方法は、「精神年齢 ÷ 生活年齢 × 100」です。

つまり、IQ=精神年齢÷生活年齢×100です。

IQの平均値は100で、85-115の間に約68%の人がおさまります。

 

【知能段階点 】

知能段階 ビネー式IQ この段階の割合
最上(最優) 141以上 0.6%
上(優) 125-140 6.1%
中の上 109-124 24.2%
93-108 38.2%
中の下 77-92 24.2%
下(劣) 61-76 6.1%
最下(最劣) 60以下 0.6%

 

生活年齢とは、被験者(知能検査を受ける人)の実際の暦年齢です。

5歳0か月、6歳10か月のように、「○歳○か月」と表します。

生活年齢の出し方
田中ビネー式知能検査では、検査実施の生年月日から被験者の生年月日を引きます。

1か月は便宜上30日として数えます。

日数が30日になった場合は1か月として繰り上げ、30日未満は切り捨てます。

精神年齢とは、知能検査で、個人の知能の発達程度を、普通の人の何歳に相当するかという形で示したものです、

 

【IQから精神年齢を調べる方法】

IQ=精神年齢÷生活年齢×100です。

精神年齢=生活年齢×IQ÷100です。

【例】5歳6か月の場合
5歳6カ月は66か月です。

・IQ80の場合、66×80÷100=52.8、精神年齢は4歳5か月、
実年齢との差は「-1歳1か月」となります。

・IQ100の場合、66×100÷100=66、精神年齢は5歳6か月、
実年齢との差は「±0歳」となります。

・IQ120の場合、66×120÷100=79.2、精神年齢は6歳7か月、
実年齢との差は「+1歳1か月」となります。

 

【IQを測るには】

知能検査にはいくつかの種類があります。

検査をする人によって結果が変わるようでは公平とは言えません。

どの検査員から知能検査を受けても同じ結果が出る必要があります。

そのため、どのような知能検査であっても、検査員は、一定の研修を受けたりレポートや課題を提出したりテストを受けたりして、合格した人に検査を受ける必要があります。

「3歳でIQ200」を謳っている教材があります。

その教材は、家庭で保護者が検査をしていますので、精度の高い結果とは言えないのかもしれません。

 

【5歳までにIQを121以上にするメリットとは?】

「IQが121以上になると、脳の成熟期間が長く、精神的に安定した時期を過ごせる」

科学誌「ネイチャー」に掲載された記事の内容です。

乳幼児をお持ちの親御さんには、【衝撃的】な実験データです。

米国の研究者グループは、4歳から19歳の300人を、IQ値で3階層に分け、2年あけて脳皮質の変化を調べた。

脳皮質が厚いと、脳内の伝達回路がスムーズになるとされている。

実際に測ってみると、脳皮質の厚さは、
知能平均群(IQ83~108)が【7歳】ごろ、
知能上群(IQ109~120)は【9歳】ごろに、
最大に厚くなり、その後は薄くなっていく。

ところが知能優秀群(IQ121?149)は【13歳】ぐらいまで皮質の厚さが増していった。

IQが121以上になると、脳の成熟期間が長く、精神的に安定した時期を過ごせるという。

科学誌「ネイチャー」より

つまり、乳幼児期に、IQを121以上にしておくと、脳皮質の厚さが増す時期も長くなるので、平均的な子は平均的なまま、優秀な子はより優秀に育つ可能性が高くなる・・・ということなのです。

この記事への久保田競教授のコメントが、AERA(アエラ)に掲載されていましたので、紹介します。

(日本福祉大の)久保田競教授は言った。「今後は【5歳】ごろまでに、いかにIQを121以上に上げるかが、教育や保育の目標になる。IQを高める方法を研究すべき時代に突入した」

AERA(アエラ)’07.3.26日号

 

【IQから精神年齢を調べる方法】

「1歳半検診」、「3歳児検診」などの集団での定期健診や小学校入学前検診などでお子さんが発達の遅れを指摘されたり、ほかの子と比べて発達の遅れを感じたりした場合、多くの親御さんが行う行動には共通点があります。

しかし、残念ながら、その行動は、成果が上がらないだけでなく、もっとひどい結果をもたらすことも多いのです。

その行動とは、どのようなことだと思いますか?

それは、3つあります。

【子どもの知能を発達させようとして、よくやる失敗事例】
1.文字や数字を教え込もうとする
2.プリント学習をやらせようとする
3.叱りながらできるまでやらせようとする

この3つの行動がひどい結果をもたらす理由は、次の通りです。

「知恵」と「知識」の両方が必要ですが、これらの行動は「知識」だけを教えているからです。

さらに、乳幼児期の「知能」は、文字や数字を読んだり書いたりプリントのテストで判断するのではありません。

そのため、4歳0か月で1000まで数える事ができるお子さんでも、IQが92、精神年齢は3歳8カ月なので、実年齢との差は-4か月という事例もあります。

また、脳は、苦しいことを避けて、楽しいことや心地よいことに反応をしますので、叱られてさせられたことを避けようとするのは当然のことです。

そのため、子どもの知能を発達させようとして、「文字や数字を教え込もうとする」「プリント学習をやらせようとする」「叱りながらできるまでやらせようとする」のは、避けてくださいね。